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weave

「暮らし」とは、職場・学校・住居といった拠点を回遊しながら成立する動的な循環であり、その日々の繰り返しそのものを名指したものである。生まれ育った地域に根ざした住居を設け、周囲とのつながりを大切にしながら、日々の始まりと終わりを迎える住居として、日ごとに移り変わる「肌理(きめ)」ある空間を発想した。

空間構成は動線的で、時間の経過により変化する要素が重なり合い、感覚的な豊かさを生み出す。本棚に並ぶ書籍、金属質の曲面天井が滑らかに光を受ける様子、凹凸ある羽目板、そして見付60mmの木造梁といった微細なディテールが、順々に現れる「肌理」として体験される。これらの要素は視覚・触覚に訴える素材の集積であり、手で扱えるスケールで構成することで、空間が生活者にとって親しみやすく、繊細なものとなる。
光と熱の制御においては、冬至時の朝日が床の奥まで差し込むように大型開口部を設計し、遮熱性の真空ガラスによって日射熱の侵入を抑制する。日照時間の最大化と単位日射熱の最小化により制御の幅を最大化している。調整には無段階のロールスクリーンを採用し、直感的かつ滑らかな操作性により、衣服を選ぶように環境を「着こなす」ような経験となる。
この住居は、日常の中に美しさや快適さを見出すために機能することを目指した。革新的な技術や派手な造形ではなく、丁寧に織り込まれた素材と動線、光と陰影の関係性が、日々の些細な行為を美しく映すような、自然とともにある建築のあり方。それがこの住居においての「肌理」の考えである。

Data

所在地 埼玉県さいたま市
用途 住宅
構造 木造(在来工法+ラーメン工法)
階数 地上3階建て
敷地面積 107.35㎡
建築面積 37.80㎡
延べ面積 109.11㎡
設計完了 2024.08
工事完了 2025.03

Credit

施工 秋山建築
設計 2321建築設計
協力 [構造設計] soaps
写真 河田弘樹
Client 個人
Note